オリジナル格納庫

いー風。

そうねぇ。

こんなにのんびりしてていいんかね？

たまには良いんじゃないかしら。

……アンタは今くらいじゃなきゃ、のんびりできないか。

ふふふ……。

そーいや兄貴はいつ来んの？

さぁ？　今日中とは言ったたけど？

こんな時くらい、店、閉めちゃえばいいのに。

そうはいかないんでしょうね。
真面目だから。

頭にクソが付く程度にはね。

……貴ちゃん。

んー？

お行儀悪い。

ふふん……。
……ホントに、いー風だわ。

ええ。

……でも、ダメだな。

ん？

ここにいると、気持ちよすぎて怠惰になる。

そぉ？

心が、洗われすぎるんだろな。
なーんも作りたくないし、描きたくないな。

今だけよ。

そっかな？

そうよ。
……じゃないと、あなたは死んじゃうでしょ。それこそ、心が。
すぐに退屈して、何か……描くか作るかし始めるんだわ。

んー……。

あなたには、敵わないのよ。

ん？

そういう部分が。
……私は、作らなくてもいいし、描かなくてもいい。

たまに描いてるじゃない。
私は好きだけどな、アンタが描く絵。……素直で、綺麗だ。

……。

カミ宿ル座（クラ）…碧ク繁リ……。

……遙ケキ峰　イクヘニモ連ナル……

其ヲ思ヒ　ワレ笛ヲ奏ス

永久ニ伝ヘン……清キ調ベヲ。

……うん……あの桜の絵は好きだよ。

……ありがと。

……というわけでさ、頂戴。

え？

あの絵。

あなたに？

うん。

ナルシストねぇ。

……へ？

あれ、モデルはあなたなのよ。

……わお。

それでも、欲しい？

……もちろん。
モデルが誰だろうと、構わない。いい絵は良い。

そう。
……じゃ、額装してからあげるわね。

……ありがと。