混ぜるな危険。
混ぜるな危険。 本文
●たまーに失敗したりもしますよ、ええ。●
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ただーいま……っと……とー??
……なんじゃ、この匂いは??
……なんじゃ、この匂いは??
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……ただいま。どしたん?
……あ……
玄関入ったとたんに、すごい匂いなんだけど?
う……ん……
……ちょっと? やなぎはらさん?
こんなはずじゃなかったんだけど……。
え? ……ええ?
………カレーです……ね。見た目は。
………カレーです……ね。見た目は。
ええ。
でも匂いがカレーじゃないねぇ。
……ん……。
いや、そんなにしょげないでさ。
……てか、何入れたの? ……いやいや……何カレー作ろうとしてたの?
……てか、何入れたの? ……いやいや……何カレー作ろうとしてたの?
……魚のお団子。
……はい?
お魚のお団子がたくさん入ったカレーを作ってたの。
……なるほど。で、オサカナは何を入れたんですか?
白いすり身と……
白……エソかな?
ピンクっぽいのと。
ピンク? ……はて、なんだろ? でもまぁ、白身の魚っぽいわね。
あと貝と。
貝? ……冷凍庫に入ってたヤツ?
……ええ。
はいはい。アサリだね。あれは入れると美味しくなるねぇ。
……まだあるわよね?
……まだあるわよね?
……。
正直にプリーズ。
……イワシを……。
イワシ?
ええ。…煮込んでたら……ね。
この匂いになった……と。
……。
なるほど。……ところで、イワシですが。
ええ。
もしかして、叩いてあるヤツ買った? それとも自分で叩いて魚団(ぎょだん)にした?
お魚屋さんに叩いたのがあって……
あー。
ご主人が、「さっき叩いたから新鮮そのもの!」って言ってたのよ?
でもさー、魚の状態を見たワケじゃないんでしょ?
ええ。
ちと古くなってたのが混じってたのかもねぇ。
イワシはねぇ、刺身にできるくらい新鮮なヤツじゃないとねぇ。
……ところで、味見した?
イワシはねぇ、刺身にできるくらい新鮮なヤツじゃないとねぇ。
……ところで、味見した?
ええ。
ほう。……じゃ、アタシも……
ダメ!!
………………うん、忠告……ありがと……ちょと遅かったケド……。
ごめんなさい。
うあー……これはまたすんごいモノに……。
イワシっちゅーだけでこんなになったワケではなさそうだねぇ。なんだろ?
……。
……ま、しゃーないか。捨てよう。
でも……。
コレ、兄貴に食べさせたい?
(ぶんぶん、と首を横に振る)
でしょ? ……とりあえず、家中の窓開けよう。換気扇だけじゃダメだわ。
ええ……。
鍋さ、外に出して中身空けちゃおう? これ以上匂い籠もっちゃったら、バレるわ。
はい……。
ほら、落ち込むのは後で。ねー!
はーい……。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
(数日後)
貴ちゃん? どうしたの?
……いやー……。
??
やらかした。
え?
アンタに言いにくいんだけど……。
え?
こないだの鍋。
……。
アレ、ダメだわ。
洗ったでしょう?
かなりがっつりとね。でもダメ。
……そうなの?
うん。大丈夫だろーと思ってさ、晩ご飯のおかず作ったんだけどね……。
……。
シチューなんだけどねぇ……。
……。
見てみる? ……ていうか、におってみる?
(首を小さく横に振る)
うん。それがいいよ。あのときと同じ匂いだもん。
……ごめんなさい。
いや。それはいい。仕方がないことだから。
でもさ、まさか鍋に匂いが染みついて取れなくなるなんてねぇ。
それもさ、煮込んだら匂いが染み出てくるって、……どうなの?
……イワシの呪いか、捨てたカレーの呪いか。
でもさ、まさか鍋に匂いが染みついて取れなくなるなんてねぇ。
それもさ、煮込んだら匂いが染み出てくるって、……どうなの?
……イワシの呪いか、捨てたカレーの呪いか。
……どっちもかもしれないわね。
そーだね。
食べ物は大事にしなくちゃね。
その前に、捨てなくて良いモノを作らないとね。
……ごめんなさい。
いやいや。それは今日のアタシもそうだって。
……鍋ごと捨てるよーなモン作ったのは、さすがに初めてだ……。
……鍋ごと捨てるよーなモン作ったのは、さすがに初めてだ……。
……ごめんなさい。
いやいや……。