オリジナル格納庫

……へぇ。

なになに、どしたのー？

ん？……いや。
そーだ、かーさん呼んできて。

おかーさん？

うん。見せたいモノがあるって。

なにみせるの？

それはあとのお楽しみ。
一緒に見せてあげるから、ほら、早く行く行く（ニコニコ笑う）

！
うん。いってくる！！

ころぶなよー……って、あーあ。
……もう(苦笑）

なぁに？何があったの？

お久しぶりにお休みのところ、ご足労かけて申しわ……て、なんでみんな出てくんのよ？
男ども、店は？

えーと……

ハルがな、呼びに見たから……なぁ？

そうそう。だから何かなーと思ってね。

……ハ～ル～。かーちゃん呼んで来いつったんでしょうが。

貴ちゃん、いつも言ってるもん。

なにを？

『シアワセはみんなでー』って。

……。

（その場にいる全員が爆笑）

……。
おめーら、あとで憶えてろよ。

もー忘れたー。

……ブラザーズ～ぅ。

……で、何だったの？　早くしないとお店が空なのよ。

あ、大丈夫。表のカギ閉めたから。誰か来たらピンポン鳴るよ。

用意周到だな。

さすがタカくん。

そういうのは小賢しいと言うのだよ。……ホントに全員で出てくるかな。
あー。はいはい。とっとと終わらせよう。
これ、見てみ？

あら。

おー。

へー。

てか、何でこんなトコに？

これなぁに？

『……』

ハル。これはね、ヘチマだよ。

ヘチマ？

そう。おかーさんが朝、顔に塗ってる、化粧水……んーと……、水の材料になるの。

冷蔵庫に入ってるあれ？

そう、アレ。

でもさぁ、叔母さん。

はいなんざんしょ？　友秋くん。

なんでココに植えたの？

植えてない。勝手に生えてたんだ。

はい？（ｘ2）

こんなトコにわざわざ植えるわけない。苗床はあっち。

……これ、灰よね？

うん。土も混じってるけどね。…てか、うっかり雨かけちゃって台無しになってたんだけど、まさかこんなんが生えてくるとはね。

どこから種が紛れ込んだんだろう？

んー…たぶんさ、春前にさ、去年のヘチマの蔓上げをして燃やしたじゃない？
その時、枯れてた実もまとめて燃やしたんだよね。その中に入ってた種が燃えないで残ってたんだろうね。

よく生きてたわね。

火の熱さにも負けなかったんだろうなぁ。

すごいわね。

ああ。

うん。

すごい。

すごいねー。

……うん。すごいな。

貴ちゃん、これどうするのー？

根性ある命に敬意を表して、畑に植え替えようと思ってるけど、ハルが育てるかね？

はるかにくれるの？

アンタがちゃんと育ててくれるならね。
プランターに植え替えてあげよう。縁側のちょい横に置くといいよ。屋根に届くくらいに支柱を立ててやるよ？

……軒先用を子供に育てさせる気か？

いひひひ……。
にーちゃんたちも世話してやってよ。ハルが出来ないときとかさ。

うん。いいよ。

じゃ、叔母さんが教えてくれたら、僕らが支柱を立てるよ。……なぁ、トモ。

おう。そうしようぜー。

じゃぁ、ついでに全部の支柱立ても手伝ってもらいましょうかねぇ。
どのみちあんたらのかーちゃんが使うモノに化けたり、みそ汁の具になるんだしね。

げ。

みそ汁に入れるのはやだー。

美味しくないっっ！

……お、俺もちょっと勘弁だなー。水っぽいのが……。

えー！？ちゃんと食用ってヤツ入れてるんだよ。

貴子、お前は食えても他の者は……。

あら、私は好きよ？

おかーさーん！！！（ｘ3)

……で？お手伝いしてくれるんですか？くれないんですか？

やるやる、やりまーす！（ｘ2）

はるかもやるー。

お、元気良いね。挙手挙手（笑う）

きょしゅ？

手を挙げるってコトです。

きょしゅー！

よしよし。

……丁度良いわね、そろそろゴハンにしましょうか？

え？（ｘ5）

早くない？

いいじゃない。ちょっと早昼にしましょ？
あとは玉子焼きを焼くだけだもの。
お兄ちゃんたち、表に「お昼です」看板出してきて？

はーい。

ひゃっほー！

はるかもいくー！！

……元気だなー。

相変わらず、歩くってコトしないねぇ、ウチのちびたち。

もうタカくんとトモくんはちびって歳でも身長でもないわよ？

はやいなー。子供がでっかくなるのは早い。

このヘチマもみるみるうちに大きくなるだろうなぁ、ウチの子たちみたいに。

来年の種は、このヘチマたちから取ろうかねぇ。無事に実が成ったらね。

頑張って生まれてきたんですものね。きっと強いわよ？

……そうだねぇ。うん。きっとそうだ