Le Paradoxe プロローグ
Le Paradoxe プロローグ 本文
違う――――。少女は直感的に思った。
こんなのじゃない―――。
次の瞬間、確信にかわった。
少女の頬に涙がつたう。
「やっぱり、ボクは“王子様”になれないんだ。
ゴメン……結局“王子様ごっこ”になっちゃって……」
『世界』が崩壊していくなか、少女はそうつぶやいた。
『決闘』は終わった。『革命という名の決闘』が。しかし少女はそれを救うことができなかった。今や彼女は倦怠と敗北の衣をまとい、なすすべもなく地に伏せている。
少女の耳にそれの言った言葉がこだまする。
『あなたは私の王子様にはなれない……だって女の子だから…』
それは真実だった。
少女は自分の無力さを心に刻み込むと、泥の中から這い出すかのようにゆっくりと、その腕にできるだけの力を込めて上体を起こしはじめた。
一瞬の静寂。
そして無数のガラス片がこすれ合うような、耳障りな雑音(ノイズ)。
少女は視線を雑音の方へ転じた。
そこには雑音(ノイズ)と共に何万何千という剣が―――――。
『Le Paradoxe Ⅰ』へ