やさしいようかい。
やさしいようかい。 本文
貴女を好きになったときも、貴女に好きと言われたときも、私は貴女に不老になって欲しいと思ってました。貴女がお嬢様の眷属になってくれればいい。そんなことを思っていました。しかし貴女はそれを良しとせず、ヒトとして生きることを貫いた。
だから。私も貴女と共にあろうと思ったのです。
お嬢様に、貴女と「共に老いたい」と告げたとき、お嬢様は呆れた顔して鼻で笑い、「好きにするが良い」と言ってくださいました。
それを貴女に告げたとき、貴女は「バカじゃないの?」と言ったけれど、貴女が微かにはにかんで、さらに優しく微笑んでいたことに、私はちゃんと気づいていましたよ。
あれからどれくらいの月日が流れたでしょうね。
ああ、ほら。今日も外はこんなにも光で満ちています。
外へ出ましょう、咲夜さん。
庭には花の香りがいっぱいです。もちろん私が育てた花たちです。
小鳥もきっと鳴いています。
貴女と出会えたこの世界を、貴女と過ごしたこの世界を、私は愛して止みません。
貴女が私を愛してくれたように、私はこの世界を愛し続けるでしょう。
この先何があろうとも、きっと……きっと。