台風一過。
台風一過。 本文
……なのかな?
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(ごそごそごそ)
……聖?
(ごそごそごそ…)
聖?
ん? ああ、なにー?
それはこっちのセリフよ?
一体何やってるの?
一体何やってるの?
えー、見ての通りー……――
ベッドメイキングよね?
分かってんじゃん。
それは見れば分かります。
……で? どうしてベッドをくっつけているか、聞いているのだけど?
……で? どうしてベッドをくっつけているか、聞いているのだけど?
だぁって、もうとっくに秋じゃん。
……。
台風も過ぎ去って、夜がめっきり冷え込んできましたからね。
だから?
愛しの蓉子さんが、人肌寂しいんじゃないかと思いまして。
私はまだまだ暑いくらいだと思ってるけど?
えー? うそだー。
何をもって断言できるのかしら? 聖さんは。
だーってー。ゆんべ……というか、朝方だったんだけど、私、トイレで目が覚めたのよね。
戻ってくるときにふと蓉子のほうを見たら、掛布にきっちりくるまって、まんまるになって寝てるんだもの。
戻ってくるときにふと蓉子のほうを見たら、掛布にきっちりくるまって、まんまるになって寝てるんだもの。
……。
寒いとさ、まんまるに固まって寝るよね、よーこって。
……。
だから、ここはわたくしめの出番だと確信したのでありました。
それで、ベッドをくっつけているワケね。
うん、そう。
あ、ちょうど良かった。よーこ、手伝ってよ。マット出さなきゃ、マット。
あ、ちょうど良かった。よーこ、手伝ってよ。マット出さなきゃ、マット。
まだ早いわよ。「暑さ寒さも彼岸まで」と言うじゃない。
いきなり暑くなる日もあると思うから、まだいいわ。
そもそも貴女が人肌恋しいだけなんでしょ?
いきなり暑くなる日もあると思うから、まだいいわ。
そもそも貴女が人肌恋しいだけなんでしょ?
へへへ。そうとも言う。
……開き直ったわね。
「貴女は子供体温だから暑くてかなわない。だから夏は別々で寝ましょう」って言ったのは誰でしたっけ?
私よ。
もうとっくに季節は秋だよ。
私は秋になるまでの辛抱……っていろいろ我慢してきたのに。
私は秋になるまでの辛抱……っていろいろ我慢してきたのに。
我慢?
そう。我慢。
……ほう。
……い、いや、その……我慢できなくて誰かさんのベッドに潜り込んだこともありましたけどー。
一度や二度じゃなかったわよね?
(明後日の方を見ながら)まぁ、三分の一くらい……は?
私と寝たいなんて、実際には涼を取りに来てるだけでしょう?
よっこ、冷たいもんね。
……暑いのよ。
私は涼しいんだけどな。
私は暑いんだってば。
おかげで7,8月の電気代がなかなか素敵だったわ。
特に今年は猛暑だったし。
おかげで7,8月の電気代がなかなか素敵だったわ。
特に今年は猛暑だったし。
うっかり設定温度下げすぎて風邪引いたりとか?
そんなこともあったわねそういえば。
その節はすみませんでした。
でもあの日は蓉子がぴーったりくっついてくれたんで、私としては超嬉しかったんだけどね。
でもあの日は蓉子がぴーったりくっついてくれたんで、私としては超嬉しかったんだけどね。
なぁに?
……いえ、なんでもありません。
とにかく。ベッドを動かしてしまったのは仕方ないとしましょう。でもマットはまだ出さないわよ。
そんなー。真ん中に分け目があると背中がゴロゴロするのに。
まだ必要ありません!
今夜はこれでいいけど、明日のお昼には戻しておいてね。
そして……
今夜はこれでいいけど、明日のお昼には戻しておいてね。
そして……
まだ何か?
今日は少し蒸し暑いから、お互いの領域を侵さないこと。
えー……。
私、明日早いんだから、何があってもヤりませんから。
そんなつもりは……
ホントになかった?
う……ぁ……っとー……。
ちょっとでも領域侵犯したら、実家に帰らせてもらいますから。
マジですか?
あるいは『家庭内別居(あっちの部屋にいく)』し。
うわー……。
……。
埃が立っているわね。換気は私がしておくから、シャワーを浴びてらっしゃい。
埃が立っているわね。換気は私がしておくから、シャワーを浴びてらっしゃい。
目的を見失ってるのにシャワー浴びてもねー……。
なぁに?
いえ、なんでもないです。
(シオシオと退場)
(シオシオと退場)
……(見送って)
……ま、あれくらいキツく釘を刺しておけばいいかしらね(肩をすくめる)
……ま、あれくらいキツく釘を刺しておけばいいかしらね(肩をすくめる)