武蔵と隼鷹・ハダカとハダカのお付き合い。
武蔵と隼鷹・ハダカとハダカのお付き合い。 本文
寒くなると、入浴剤が恋しくなるね。
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(入り口から顔を出して)……隼鷹。
おー?
風呂に入らないか?
あーん?
アタシゃとっくに……
アタシゃとっくに……
……む……そうか。
………。
……じゃ……(引っ込もうとする)
……(ふぅ、とため息をついて苦笑し)ちょいまち。
………(戻ってくる)
(そーんな子犬のような目で見られたら、断れないじゃないかぁ、と思いつつ)
ちっと湯冷めしちまったみたいだから、付き合おうかね(立ち上がる)
ちっと湯冷めしちまったみたいだから、付き合おうかね(立ち上がる)
そうか。
おうさ。先行ってな。すぐ行くからさー。
うむ(引っ込む)
(遠ざかっていく足音が軽いことに気づいて)……ひひ……まだまだ子供で、困ったこった。
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はーさぶさぶー。脱衣場の寒いのはどうにかならんもんかね。
(湯船の中から)浴室側《こっち》は温めておけるが、脱衣場《そっち》はどうもな。
(湯船に足を入れながら)ま、こっちの風呂はしゃーないか。
それでも、本土やら寒いとこよかマシな寒さだけどねぇ。
はー、極楽極楽。
それでも、本土やら寒いとこよかマシな寒さだけどねぇ。
はー、極楽極楽。
そんなに寒いのか? あちらは。
場所にもよるけど、本土のほうはたいがい、ここよか寒いねぇ。
(顎まで湯につかって)はー、この時間に使わせてもらう風呂ってのは、また格別だねぇ。
(顎まで湯につかって)はー、この時間に使わせてもらう風呂ってのは、また格別だねぇ。
朝風呂でも同じことを言うよな。
あーん? ははは……風呂ってぇのはな、いつ入ってもいいモンなんだよ。
身も心も洗えるってぇかなぁ♪
身も心も洗えるってぇかなぁ♪
……うむ、そうだな。
(湯船のそばに置いていた透明筒状の容器から、なにやら球体上のモノを手のひらに出して)これ、使っていいか?
(湯船のそばに置いていた透明筒状の容器から、なにやら球体上のモノを手のひらに出して)これ、使っていいか?
あん? ……好きだねぇ。入浴剤。いいよ、もう最後だし?
うむ(ポチャン、と湯の中に浮かす)
……こらまたキレイな金色だねぇ。
柚子……と書いてある。
あらそう。一足早い柚子湯かー。
一足?
冬至に柚子を浮かべた風呂に入るとね、次の冬至まで風邪を引かないんだってさぁ。
冬至にゃ早いけど、そろそろ立冬だから、ちょうどいいかもねぇ。……で、そのバスオイル、どこで手に入れたの? 間宮さん?
冬至にゃ早いけど、そろそろ立冬だから、ちょうどいいかもねぇ。……で、そのバスオイル、どこで手に入れたの? 間宮さん?
うむ。いや、……大和が……。
間宮さん経由でくれたんだ(ぷかぷか浮いている金のボールを、指先でちょん、とつつく)
最近のブームらしい。他に、赤いのも入っている(容器を振ってみせる)
赤?
薔薇……だそうだ。
ひゃー、薔薇ねぇ(呵々と笑う)
嫌いか?
んにゃー、嫌いじゃないよ。どっちかってぇと好きなほう。
ただ、なんちゅーかさ、っぽくないってーの?
ただ、なんちゅーかさ、っぽくないってーの?
……そうでもない………と思うが?
イメージとしては檜っぽいって言われるんだよねぇ。
飛鷹が薔薇っぽくて、アタシゃ檜っぽいってさ。
実際に好きなのは逆だったりすんだけどね(ひひ、と口をゆがめて笑う)
飛鷹が薔薇っぽくて、アタシゃ檜っぽいってさ。
実際に好きなのは逆だったりすんだけどね(ひひ、と口をゆがめて笑う)
………。
ん? 妬いた?
そんなことはない。
うそつけ。鼻がヒクヒクしてら。
………。
(自分たちの周りをゆらゆらと動くバスオイルの球を軽くつまみ)
なかなか溶けないのだな。匂いもさほど強くない。
(自分たちの周りをゆらゆらと動くバスオイルの球を軽くつまみ)
なかなか溶けないのだな。匂いもさほど強くない。
オマエさんならもちょっと強くつまめば、簡単に割れちゃうよ。
割れたらもっと柚子ーって匂いになるだろうねぇ。
割れたらもっと柚子ーって匂いになるだろうねぇ。
そうか……(隼鷹の胸の上で、パスオイルの球を転がす)
こら、くすぐったい。
……いいじゃないか。
……ふ……好きに、おし……(武蔵の頭に手をやって、彼女の顔を自分のほうに押し、その鼻先をペロリ、となめる)
………(ガッと噛みつくように口づける)
はは……こら、のぼせる……って……ん……。
誘ってきたのは、どっち……だったかな。
……ひひ……
(自分の胸の上でバスオイルの球を転がしている武蔵の手に触れて)
ホンっとに入浴剤が好きだねぇ。
春先はヨモギ、夏はミント、秋は紅葉で冬は柚子……てか?
そーいや、ミントは提督が怒ってたったっけ? 地植えしやがって、バイオテロだーって……ふふふ………。
(自分の胸の上でバスオイルの球を転がしている武蔵の手に触れて)
ホンっとに入浴剤が好きだねぇ。
春先はヨモギ、夏はミント、秋は紅葉で冬は柚子……てか?
そーいや、ミントは提督が怒ってたったっけ? 地植えしやがって、バイオテロだーって……ふふふ………。
ちゃんときれいに駆除しただろ?
アタシも付き合ってね。
あんなにはびこるとは思わなかった。
プランターじゃなかなか増えないのにねぇ。
おかげで、秋口までミント湯が楽しめたから、ま、いっかって感じ。
汗かいたあと、アレに浸かるとさっぱりするんだよねぇ。
……来年分もちっとはあるんだっけ?
おかげで、秋口までミント湯が楽しめたから、ま、いっかって感じ。
汗かいたあと、アレに浸かるとさっぱりするんだよねぇ。
……来年分もちっとはあるんだっけ?
乾燥させたのがもう少し残っているな。
提督も、そういうとこはちゃっかりしてるというか、オマエに甘いよね。
ナマコの時も、さほど怒んなかったし。
ナマコの時も、さほど怒んなかったし。
あれは、先にオマエが怒ったからだと、カワチ提督が言っていたぞ。
あっそ……。
……ミントは、来年はもっと計画的に植えるらしい。なんでも、虫除けにもなるんだとか。
へー……。
まったく、変な人だよなぁ……軍人やってるより、農家やってる方が似合うし、生き生きしてる。
なんで海軍なんかにいるんだろうね、あの人は。
まったく、変な人だよなぁ……軍人やってるより、農家やってる方が似合うし、生き生きしてる。
なんで海軍なんかにいるんだろうね、あの人は。
……さあな。鳳翔に言わせれば『途中から仕方がなく』だということだが。私にはわからん。
興味がないだけだろ、オマエさんは……ん……。
こらこら……ちょっと、手加減しな……サイ……。
こらこら……ちょっと、手加減しな……サイ……。
やだ……。
やだ……って、子供じゃない……んだから……
……いつまでも子供扱いしているのはどっちだ?
ひひ……ばぁか……子供相手に、こんなこと、すっか……い……。
(バスオイルがぶしゅっと割れて、白い液に転じると同時に、強い柚子の香りが充満する)
(匂いに興奮して、隼鷹の首筋に歯を立てて強く噛む)
いって……ひひひ……こぉら……、おいたする子とは、これ以上やんないぞ……(口で言うだけで抵抗はしない)
(『……同じ匂いになれる……から……』)
……んとに、入浴剤、好き……だナァ……。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
○部屋。
(ぼすん、と布団の上に放り出される)……この、ばかたれ……。
すまん。
毎度毎度……も、いい……。
……すまん……(隼鷹をのぞき込む)
(まだ濡れている髪を掴んでぐしゃぐしゃと揺らし)風呂で最後までヤんの禁止って、何度言ったら分かるのかね、このちび助は。
すまん……。
……て、アタシの態度もイカンのか……(苦笑して、ちゅ、と口づける)
………。
……今度やったら、二度とシない。
分かった?
分かった?
はい。
(『見えない尻尾が揺れてんだよ、おめーはよ』)
……布団……
……布団……
ん(横に寄り添って、掛け布団をかけてやる)
……布団の中が柚子……(うとうとしている)
そうだな(胸に手を伸ばす)
こら(ぺち、っと叩き)
眠らせろ、もう今日は店じまいだよ。
眠らせろ、もう今日は店じまいだよ。
そうか。
そ。
じゃ、明日ならいいか?
(片目を開けて、じろりと肩越しに睨む)……変な知恵付きやがって。
……いいか?
知るか、バカ(後頭部に感じていた武蔵の腕に、頭を乗せる)
………。
………。
おやすみ。
おやすみ。
おやすみ(相手の胸にそっと触れる。今度は叩かれない)