へっぽこ・ぽこぽこ書架

二次創作・駄っ作置き場。 ―妄想と暴走のおもむくままに―

艦これ駄文。

カワチと那智・ウヰスキーがお好きでしょ?

カワチと那智・ウヰスキーがお好きでしょ? 本文

○那智の部屋 夜中。
(ノック3回)……那智。
……なんだ?
(後ろからダルマを出して見せ)少し、やらないか?
ふむ……付き合おう。
(部屋に入ってくる)すまないね。
貴様のご要望とあらば……なんだ、すでに酔っているのか。
……そうでもない。
その割には酒臭いぞ。
足も少々おぼつかないようだが? ……姉上はどうした?
自分の部屋だろう。いつも一緒というわけじゃない。
一つ部屋で同棲している仲でもないし。
……まぁそうだな。
(立ち上がって別室に行き、ミネラルウォーターの瓶二本とグラスを二つ持ってくる)
今の貴様には、ダルマよりもこっちだろう。
(テーブル上に置かれたミネラルウォーターの瓶を見て、鼻白む)
これなら付き合おう。
……(肩をすくめる)
どうしても飲みたいのであれば、この部屋から出て行くがいい。
厳しいね。
なに、姉上に叱られたくない。
……もらおうか。
良い心がけだ。
すまないね。
(肩をすくめて、ミネラルウォーターのグラスに注ぎ、差し出す)
(受け取る)
(グラスを掲げる)
……(にや、と笑ってグラスを掲げ)……かんぱい。
うむ(グラスをちょっと上げる)
(グラスの水を飲んで)……那智。
君は、たまに足柄じゃなく、他の子と寝たいとは思わないか?
(飲んでいた水を、ぶ! と吹き出して)
……本当に何があった? 妙高と喧嘩でもしたのか?
そういうわけじゃない。……で、どうだ?
………正直ないな。
貴様が私のことをどう思っているか知らないが、
私は誰でも彼でもいいというわけじゃないし、足柄ともそんなにしょっちゅう同衾しているわけでもない。
……ふむ。
足柄が望む時に同衾する。私から誘うことは滅多いないな。
へぇ。意外だね。
自分で言うのもなんだが、どうやらかなり淡泊なほうらしい。
初めての相手とも、さほどのめり込むようなこともなかった……もっとも、自分と同じ顔だったからな。のめり込む要素はないに等しい。
……(鼻にしわを寄せて)どこの提督だ? そんな酷いことをするヤツは。
そもそも規則違反だ。
憤慨してくれるのは嬉しいが、とうに過ぎたことだ。そいつもずいぶん前にこの世から去ったから、どうでもいい話に成り下がっている。
………。
私が受けた事々なんて、妙高や羽黒や足柄に比べたら、かわいいモノさ。
ふむ……。
ところで逆に訊きたいのだが。
無論、貴様の禁忌に触れるならば、無視してくれてもいいし、罰も受けよう。
そこまでする必要はないと思うが……うん、まぁどうぞ?
うむ。
女の提督が我々を抱くことを所望するというのは、どういう理由だ?
男なら分かる。そういう生理現象なんだろう?
生理現象だけが理由でもなかろうが、きっかけはそれかもしれんね。
男の提督がどう考え何を感じているのかは私には実質分からん。男ではないからな。
それはそうだろう。それについての回答は期待していない。
……で、貴様自身はどうなのだ? 時折妙高姉《みょうこうあね》と同衾していることくらいは知っているぞ。
相変わらず筒抜けだね。
厳密に言えば筒抜けではないな。
ただ、貴様と同衾しているだろう時は、意図的に気配がしない。
……では、私といるときとは限らないじゃないか。
いや、間違いなく貴様と同衾しているときだ。
……あれで妙高はちょっと抜けていてな。
ん?
姉上から誘うときは、特定の合図があるだろう。
……よく知ってるね。
それが筒抜けなんだ。
その夜は必ず気配が切られている。とすれば、そういうことだと判断した次第だ。
……なるほど、それは確かにちょっと間が抜けている。
だが、もしかしたら……
そうだな、それすらも意識的にやっていることかもしれんな。
なにせ、あの姉だからな。
言いたい放題だね。
アレでいて食えない女だからな。
それは……まぁ認める。
ちなみに
ん。
この会話は今、妙高に筒抜けた。
(ぶ! と水を吹く)……ちょっと、それは頂けない。
そうか? やましいところは一切ないと、しておきたいのでね。
だのに、そういうきわどい質問をするわけだ。
うむ。
……正直、そういうことは、妙高さんには聞かせたくないかな。
なぜだ?
深い意味はないが……そうだね、気分的に……とでも言おうか。
ふむ。ではクローズしようか。
………。
どうぞ?
……いつも思うのだけど、あまりに簡単にオンオフができるから、真実そうなのかと訝しみたくなる時があるね。
……ちょっと先に質問していいかな。
質問に質問でもって返されるのは好きではないが、今回は許容しよう。なんだ?
足柄と同衾しているときは、オープンなのかい? それともクローズなのかい?
……またきわどい質問だな。
私への質問を棚に上げて言うねぇ(苦笑する)
答えは、時によりけりだ。
そうだな……足柄次第というところかな。
足柄がクローズだったら。こちらもクローズにする。だが、実はオープンのほうが気持ちはいい。相手がどう感じているかが手に取るように分かるからな。事が運びやすいというかな。
……なるほど。期待以上の回答だったね。
君らには君らのやり方があるというわけか。
(肩をすくめる)
もちろん、共鳴している相手同士が常にそうではないと思う。
私も正直、他のパートナー間のことは分からない。
それはそうだ。
……で、貴様の回答は?
……ふむ。そうだなぁ。
正直、わからない。
自分自身のことだろう?
だからこそ分からないのかもしれない。
だが、一つだけいえることがある。
自分のアプローチによって相手がどんどん乱れてくる。
あるいは乱れまいと抗おうとする。
それを見えたり感じることができると、全身がぞくぞくする。
嬉しさでこの身が満たされるというかね。
ふむ。
……分かったような、分からないような……。
征服欲が満たされることもある。
征服欲?
相手を攻略して、すべてを自分のものにしたいという欲求だ。
お互いが潰えるまで共にあろうと誓った伴侶でも、結局我々は二つ身の存在だ。
そして我々人間は欲の塊だ。せめてそういう時だけでも、相手が自分だけしか見ない、見えてない。身も心も自分のことだけを考えて感じていて欲しいと強く思う。
それが高じると、快楽で自分に縛り付けておきたいと思うようになる。それが、この場合の征服欲だ。
すべての深海棲艦を屠ってしまいたい、という欲求とは違うようだな。
それも征服欲のひとつだけどね。
ふむ……なるほど……と言いたいところだが、いまいちよく理解できん。
うーん……こう言ってはなんだけど、そこが君たち艦娘の限界値なのかもな。
……む。
(荒くため息をついて)……そういう部分は一応理解しているが、改めて言われると腹が立つな。
すまないね。もっと柔らかい表現ができればいいんだが、ここが私の限界らしいよ。
一言多いんだな、たぶん。
一言多いというよりは、直裁過ぎてこちらがぐうの音も出なくなるという感じかな。
本当のことだけに、反論ができない。
……なんだ、だからか。
ん?
相手はヒナセ司令か。
………。
図星だな。
君もズバズバものを言うよね(苦笑)
そういう風に作られているからな。
もっとも、『那智』の中では正直すぎるほうらしいが。
そういう性格も嫌いじゃないね。
以前使っていた『那智』よりも、よほど小気味がいい(愉快そうに笑う)
……で、ヒナセ司令に一言二言余計なことを言ったと、落ち込んで飲んでいたというわけか。
鳳翔のところでか?
ちょっと違うかな。
鳳翔さんのところで飲んでいたら、ヒナセ司令が来たのが、正しい流れだ。
まあ、いつものように雑談しながら、こっちは飲んでて、あっちは食べていた。
なるほど。
なにを言ったか言われたか知らんが、そこは聞かないでおこう。
言いたければ言うがいいさ。私は壁になるだけだからな。
……別に、誰かに愚痴を聞いて欲しいわけじゃない……が……
……落ち込みすぎて、誰かに甘えたくなったか。
妙高姉はこういう時は役に立たなさそうだ。
よく分かるね。
彼女は良くも悪くも長女だからな。
何か言えば助言をくれたりお説教をくれたりするが、それが欲しいわけじゃないことは、我々にだってよくある。だから私と足柄は、お互いを必要としている部分がある。
羽黒は姉上になんでも話ているようだが、たぶん私たちへの遠慮があるからだろうな。そんな遠慮はしなくていいと、いつも言ってるんだが。
まぁ、私にも遠慮している節があるね。
個体固有の性格もあるな。羽黒は全体的に引っ込み思案だ。
でも一番怖い存在だけどね。
そうか?
羽黒に対して悪さしたり粗雑に扱うと、姉三隻が容赦しないだろ?
それが、自分の仕える提督であっても。
まぁそうだな。
……で、どうなんだ?
なにが?
おや、もういいのか。
てっきり落ち込んでて、でも妙高姉のお小言が嫌で、私のところに甘えに来たのかと思ったんだが?
……甘えさせてくれるのかい?
さて、状況によるかな。
………。
いや、止めておこうか。足柄がこわい(苦笑する)
姉上ではないのか。
君も知ってるだろ、私は一穴主義じゃない。
適当に遊んでいるのは知っている。
ここではそれはないようだが。
ここはそういう基地じゃないからね。
楽園は、汚《けが》してはいけないんだよ。
……妙高型については、全員貴様預かりだ。
そうだが?
ま、好きにするがいい。
つまり全員、貴様が望めばそういう対象になるということだ。
……今のところ、望んでないね。
そうか。
では、今、私が望んでいるとしたら?
………。
………。
……いや、今日は止めておこう。
まじめに、どっちが主導権を取るかで一戦交えることになりそうだからな。
今、私の分が悪い。
酔ってるからな。
そういうことだ(立ち上がろうとするが、ふらついて、またソファに腰を下ろす)
(それを見て)ま、ふらつきが収まるまで、ここにいるがいい。
すまない。
……飲むか?(カワチが持ってきたダルマを手に取る)
いや……それは……。
(口の片端を引き上げて声なく笑う)……冗談だ(言って、カワチのグラスにダルマを注ぐ)
………(軽くため息をついて苦笑し、ダルマを注がれたグラスに口をつける)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
○翌朝 ヒナセ基地司令官執務室
(出勤して入ってくる)……おはようございます……。
おはよ……て、どうしたの? それ。
いや……。
誰に結ってもらったの? 金剛?
違います。
んー? じゃ、妙高さん?
(うなずく)
……なにやったの、夕べ。
部屋に戻ってなかったみたいだけど。
……那智の部屋で……。
那智ー? ちょっと止めてよね、変な問題を持ち込むのは。
いえ、飲んでて、そのまま潰れて寝ただけです。床で。
……床……て、誰も信じないでしょ。
……ですよね。
でもま、信じましょ。
オマエさん、そういうトコ嘘つかないしね。
……で、朝起きたらそうなってた?
いえ、明け方目がさめて、部屋には戻ったんです。
そこに妙高さんがいた?
じゃなくて。
ん?
戻って、そのまままた寝たんです。
一人で?
(うなずく)……で、いつも通りに起きたら、妙高さんが目の前にいまして。
那智と浮気してたって誤解された?
いえ、それはなかったんですけど………
……おはようございます……。
あ、今日は那智だっ………?
……えーと……それも妙高さんの仕業?
はい……。
あそ。
今日一日、この髪型でいろと……。
まぁ、いいけどね。
頼むから、この手の問題はあまり仕事場には持ち込まないようにしてください。
……はい。
申し訳ありません。
じゃ、デン。今日の資料を持ってきてください。
鳳翔さんは、日向と武蔵に今日の指示を。
……はい、なのです。
(全員にお茶を出しながら)了解いたしました。
(電から受け取った書類越しにカワチと那智を見て)
……器用だねぇ、妙高さん。
シルエットだけなら、金剛と榛名に間違えそうだよ。
………。
………。
ま、やましいことがないなら、オープンで飲んでるべきだったねぇ。
(苦笑しながら書類をめくる)
……今度からそうします……。
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