へっぽこ・ぽこぽこ書架

二次創作・駄っ作置き場。 ―妄想と暴走のおもむくままに―

艦これ駄文。

二鷹06

二鷹06 本文

そして現代……。
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やっほー。
こんな夜更けにどうしたの?
明日さぁ、帰るんだよねぇ。
ええ、そう言っていたじゃない。
そしたらさ……
……『会ってこい』って言われたの? あの子に。
……んー……ま、そんなトコ。
ホントに聞き分けがいいのねぇ、大和型は。
たまにこっちが困惑するくらいにはね。
聞きわけが良すぎるのも考えモンだ。
あなたのこと、信用してるんでしょ。
さて、どうかね。
アタシもアイツも、それなりに遊んでるよ。別の相手と。
嘘おっしゃい。
……嘘じゃないよー?
知ってて? あなた、嘘をつく時に、必ず鼻をこする癖があるのよ。左手で。
……え……とと……。
こりゃぁ……参ったね。
とにかく、お座んなさいな。
……はい。失礼しまぁす。
あなたもたいがいに律儀な子よね。
私が良いっていうまで座らない。……そういうとこ、あの子が引き継いでいるんじゃないかしら?
えー? そっかなぁ。真面目っ子なのは大和型の特性でしょ?
大和もそんなトコあったよ。
あら、大和もいるの? 基地では見なかったけれど。
以前ね。 武蔵とほぼ同時期に生まれたんだよね。
武蔵で実験して、大和建造のデータを揃えたっていうか。
……とにかくあれは、ひどい目に遭いました。
そんなひどい提督さんには見えなかったけれど?
んにゃ、ウチの提督もよそと大差ないよ。人間だもの。碌でもないさぁ。
人畜無害を装ってるだけに、タチが悪い。
基地の主任務が艦娘の修復と育成だかなんだか知らないけど、ハムスターかなんかみたいに、こまーかく観察されてて、記録も取られてるなんて、いい気分じゃないよねぇ。
元がヒコーキ屋だってとこくらいかな、気を許しても差し障りがないとこは。もっとも、うかつに飛行機の話なんかさせたら、まず三時間は延々と話を聞かされる羽目になるよ。
それじゃぁ、あなたには煙たい存在でしょうねぇ。
あーん?
その調子じゃ、しょっちゅうお小言もらっているんでしょう?
艦載機の手入れが行き届いてないって。
……ぐ……。
ほら図星。
ぬぬぬ。
まぁ何にしても安心したわ。
いい提督の元にいるようで。
そーんなことなーいー。
ふふふ……。
……そういえば、武蔵とほぼ一緒に生まれた大和はどうしているの?
あー……鹿屋《ここ》にいるよー。
アサカ提督が預かってるはずだけど?
提督がこっちに来る時、かならず鳳翔さんを同行するのは、だからなんだよねぇ。
大和の面倒を見てたから。
あなたたちで実験したデータまで使って建造した子なのに、簡単に手放したのねぇ。
上からの命令なのかしらね。
さー? 真相は知らないねぇ。どっちを残すかずいぶん悩んでたのは知ってるけどさ。
そもそもあんな貧乏なちっさい基地で、大和型二杯も持っとくのは、無理でしょ、資材的に。
そうじゃなくても赤城はいるし、戦艦も長門と日向が常駐してるし。
基地の周辺をああやって耕してさ、野菜とか作って自給自足してないと、主に糧食面ですぐに太刀打ちできなくなる基地なんだしー。……って、なに?
え?
いや、嬉しそうだなって。なんか笑ってるし。
……ええ、そうね。嬉しいわよ。
あなたとこうして、また会えたことも、あなたが元気でやってるってことも。
………。
ふふふ……。
……ねえ、飛鷹。
なぁに?
……アンタのさ、『橿原丸』のこと、教えてよ。
あら、気になるの?
んー……そういうわけでもないけど……ただ、なんとなく。
悪趣味ね。
嫌ならべつにいいけど。
……嫌じゃないわよ。もうずーっと昔のことだもの。
………。
そうねぇ……私と彼女は本当に姉妹だったのよ。あなたの武蔵と、大和のようにね。
同日中に生まれたの。彼女が先だったらしいわ。
艦と同じなんだ。
ええ。
……生まれたところは、あなたも知っての通り、ひどい基地だったから、私たちが寄り添ってしまったのも、必然だったのでしょうね。
……隼鷹。
あに?
あなたは、私が出会ったどの隼鷹よりも、『橿原丸』に似てる。
……それはどうも。
でも、一つだけ決定的に違うところがあるのよ。
はえ。
それはね………
………。
それは……
あなたは『生きることに倦んでいない』というところ。
………。
あの人がなくしてしまった『生きようとする意思』を、あなたは拾って生まれてきたのかもね。
……愛しているわ、橿原丸。
でも、あなたは『橿原丸』じゃない。あの人の代わりにはならなかった。してはいけなかった。
だから、手放したの。
あなたはずっと、提督から追い出されたと思っていたでしょうけど、違うの。私が提督にお願いして、余所にやってもらったの。
………。
あの寒くて小さな基地じゃなくて、せめて暖かい基地か泊地へ……それがあの時の私がお願いできる唯一のことだったのだけど、ごめんなさい……。
……いんやーぁ……ま、やられた先で、確かにひどい目には遭ったけどさー……
………。
遭った……けどさ……。
……ごめんなさい……。
……けどさ、いんだよ! こうしてまた、会えたから。
ね、そうでしょ? 出雲丸。
次はいつ会えるか分かんないし、これで今生の別れになるかもしんないけど。
こうやってまた会えたからさ、きっとまた、いつか会えるよ。
………。
そんなワケでさ、飲も。
明日、早いんでしょ?
寝坊しても知らないわよ。
そんときゃまー、なんとかなるって。
……もう……困った子ね。
いーじゃん、いーじゃん。
ばーっといこ、ばーっとぉ。
……はいはい。でも、ほどほどに……ね。
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